日本の年金制度は二階建てになっています。20歳から60歳までの国民全員が加入するのが国民年金であり、自営業者や専業主婦などは国民年金のみの加入者です。企業に勤めている社員であれば厚生年金に加入することになります。
数年間は厚生年金に加入していても、結婚や出産などで会社を辞めるとそこから先は厚生年金の対象から外れます。
しかしDINKsやおひとりさまのような生き方を選択した場合、定年になるまで働き続ければその分の年金額も増えます。
年金の支給額や将来に必要な費用は誰にとっても気になるところです。経済的に自立した生き方をするDINKsやおひとりさまは、どれくらいの年金額を支給されるのでしょうか。
DINKs は受給できる金額が高い
令和元年に厚生労働省が発表した年金給付の月額平均は、老齢厚生年金が14万6,162円、老齢基礎年金は5万6,049円でした。そのため会社員として厚生年金に加入していた人がもらえる将来の平均額は、その時点では月に14万6,162円です。
厚生年金については収入がどれくらいあるかによって異なるため、個人個人が将来的に貰える金額がいくらになるかは断定できません。現在のところ平均的には、おひとりさまのような単身世帯の場合で月額14万円台です。それぞれに収入のあるDINKsの場合はこの2倍の給付額ということになります。
令和元年の厚生労働省発表による老齢年金額で計算すると、
世帯のかたち | 給付金額(二人世帯の合計) |
二人とも基礎年金(個人事業主など) | 11万円と少々 |
厚生年金と基礎年金(会社員と専業主婦(夫)など) | 20万円と少々 |
二人とも厚生年金(会社員など) | 29万円と少々 |
二人とも会社員のDINKs夫婦が将来受け取れる年金額は、共働きの会社員ではない世帯が受け取れる金額よりも高くなります。
扶養世帯の場合の年金給付額との差
夫婦のうちどちらか一方が会社員であり、もう一方が専業主婦や専業主夫の場合、将来受け取れる年金は老齢厚生年金と老齢基礎年金です。元々もらえると決まっているこれらの年金に、ある一定の条件を満たすと給付額が加算される制度もあります。

条件の一つは厚生年金に20年以上加入していること、もう一つは夫婦の片方が扶養家族であることです。それによる加給を受けるための手続きは自分でする必要もありますが、専業主婦のような扶養家族がいれば将来的に受け取れる年金額がいくらか高くなります。これは結婚していてもDINKsのように夫婦それぞれに収入があり、扶養という考えが当てはまらない世帯にとってはメリットの得られない制度です。
経済的に独立した夫婦にはこういったデメリットもありますが、それを考えてもトータルで見れば将来受け取れる年金額自体は高い傾向にあるのがDINKsです。
DINKsは世帯単位で見ると、現役時代に支払っている社会保険料が高くなります。仕事に集中できる時間が多く、仕事に割いた手間や時間が長いほど所得額も増えるため、他の世帯よりも多めの税金を払うことで日本に貢献しているのです。
このように若い頃の負担が多い分、老後に受け取れる年金額が他の世帯よりも多くなります。しかし受給額が多いからと言って油断は禁物です。
現役時代の生活水準が高いこともDINKsの特徴となります。所得額の多さに応じて生活レベルが上がってしまうと、老後にいきなり質素な生活に戻すことは困難となるでしょう。いつまでも働き続けられればその分もカバーできますが、働けなくなるリスクは誰もが負っています。将来もらえる年金額をあてにしすぎて生活に困窮しないよう、若いうちから計画性のある金銭感覚を養っておきましょう。
まとめ
DINKsやおひとりさまは、会社員として厚生年金に加入している人がほとんどです。老齢基礎年金の給付額に比べれば明らかに有利な点が目立ちますが、将来に何が起きてもいいように備えておくことが肝心です。
DINKsは特に世帯単位の給付額が大きくなる傾向があります。それに安心して散財することなく、理性的な経済感覚を持てるようにすると良いでしょう。
コメント